開局45年RCC制作ドラマ大林宣彦総監督に聞く
懐かしき大人たち描く
故郷への恩返し作品に
開局四十五年のRCCが尾道市出身の映画監督・大林宣彦を総監督に迎えて制作するドラマ「マヌケ先生」が三日、静岡ロケでクランクインした。
八日から尾道ロケをする。大林総監督の少年時代を主に描いた幻想的な作品。来年一月にTBS系で全国放送する。
「マヌケ先生が私の映画の第一回作品のオリジナルキャラクターだった」と語る大林総監督に制作意図などを聞いた。(藤川幸彦記者)
幼少時代、活動写頁機で遊んでいた大林総監督がフィルムの上に描いて作った「マヌケ先生」は、現在の大林映画を語る上で貴重な作品になっている。
大林総監督は「マヌケ先生は医者だった私の祖父のことであり、小学校の校長であり、近所のおじさんたちのこと」という。つまり当時の典型的な大人たちのことである。「大人たちは子供心に恐ろしい存存であったが、子供の目から見ると、こっけいさ、間抜けさがあった。そして、今の大人にない魅力を備えた存在でもあった」と少年時代を懐かしむように話した。
「おおらかな人間性に富んだマヌケ像」。大林総監督の原点ともいえる世界観がそこにある。今の大人を「利口ぶったバカが、自分の犯した失敗をごまかして日本を駄目にしてしまった」ときる。「今の日本に必要なのは、大人がもう一度マヌケ先生に戻ること。私の感覚によってとらえた人間像を描いてみたい」と力を込めた。
制作には総監督として脚本などにかかわり、メガホンは取らない。スタッフには内藤忠司監督、今関あきよしカメラマンら長年、大杯映画を支えてきた人たちが当たる。RCCからは門出大地プロデューサーらが参加する。
キャストは大林の青年時代の馬場鞠男を三浦友和、なぞの紳士を谷啓、鞠男の祖父を丹波哲郎が演じる。映画監督の馬場が次回作「幼少時代の思い出を描くファンタジー映画」のプランを練るため、故郷の尾道に向かう列車に乗っていた。車中でなぞの紳士に出会った馬場は少年時代の懐かしい世界に引き込まれる− というストーリーだ。
このはか南田洋子、入江若葉、洞口依子らが出演。鞠男の少年時代は子役が演じる。広島のオーディションで合格した子供たちも鞠男のクラスメートなどで出演する。
制作にはRCCのほか、パンダイビジュアルとPSC(大林宣彦事務所)も加わる。一時間二十五分のドラマにして一月二十四日午後二時から全国二十八局で放送後、映画用に再編集してPSCが劇場公開。パンダイビジュアルからビデオ販売もする。
大杯総監督は「私は故郷の尾道で生き方、知恵を学んだ。来年、市制施行百年を迎える尾道への恩返し映画」と話している。